2024年12月25日 | AIニュース
文部科学省が2023年7月に発表した「教育現場における生成AIの利用に関する暫定ガイドライン」から約1年半が経過し、学校現場では授業や校務に生成AIを活用する事例が少しずつ増え始めています。一方で、生成AIに対する期待と不安の両面が依然として混在しているのも事実です。
こうした状況を受け、日本マイクロソフトは2024年12月20日に文部科学省が発表した生成AIガイドライン案に基づく**「生成AIプロンプト集」**を無料公開しました。同社が全国各地で実施している生成AIパイロット校支援や都道府県向けAI研修の知見を活かし、授業準備・部活動・生活指導・学校からの情報発信・校内研修・外部対応の6シーンで活用できる合計10の事例が掲載されています。
■ マイクロソフトが提供する「生成AIプロンプト集」の特徴
- 文科省ガイドライン案に対応
ガイドラインで示された留意点を踏まえ、教育現場で安心・安全に生成AIを利用できる具体的なプロンプト例を紹介。 - 6シーン・10事例で実践的に解説
「授業準備」「部活動」「生活指導」「情報発信」「校内研修」「外部対応」のシーン別に、簡単に使える実用的なプロンプトを収録。 - 無料配布&二次利用可能
ダウンロードから印刷・配布まで無料で行えるため、幅広い教員が手軽に導入しやすい。 - 初めてのAI利用でも安心
生成AIを初めて使う教員でも取り組みやすいよう、具体的な使い方や考え方を丁寧に解説。
■ 掲載されている主なプロンプト例
- 授業で取り扱う教材やテスト問題のたたき台作成
- 児童生徒の授業感想をまとめる
- ワークシートの振り返りからテスト問題案を作成
- 次学期・翌年度の授業計画作成
- 過去の部活動記録を読み込み、練習メニュー案を作成
- 児童生徒の生活実態アンケート案を作成
- 学年だより・通知文などのたたき台を作成
- 校内研修用の資料作成
- 研修・講習会の録画要約や議事録案の作成
- 外部向け講演会・集会の挨拶文のたたき台を作成
■ 教育現場の課題に寄り添うプロンプト集
日本マイクロソフトで本資料の作成に携わった青木智寛氏は、「先生方が感じている生成AI利用のハードルに寄り添い、実際の教育現場での利活用を強く意識した内容です。基本的な使い方・考え方を知ることで、先生方がはじめの一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しい」とコメントしています。
また、同資料は無償で提供され、自由にリンクの共有や印刷・配布が可能となっているため、教育現場へのAI導入促進に期待が寄せられています。
■ 今後の展望
生成AI活用は、今後さらに教育現場のさまざまな業務・学習活動へ波及していくと予想されます。
文部科学省の新ガイドライン案を遵守しながら、安全かつ効果的に生成AIを活用するための環境整備とノウハウ共有がより重要になるでしょう。学校現場の忙しい教員にとって、今回のような具体的なプロンプト集の提供は、導入障壁を大きく下げる手立てとなると考えられます。
AIフロンティアアカデミーでは、教育×AIの最新動向を継続的に追いかけ、生成AIの安全・有効利用に関するニュースを引き続き発信していきます。
関連リンク:
- Microsoftの生成AI 明日から使えるCopilot依頼文(プロンプト)10
ダウンロードはこちら
参考・出典: 日本マイクロソフト、文部科学省ガイドライン案
AIフロンティアアカデミー編集部より
生成AIの導入に戸惑う学校現場にとって、今回のマイクロソフトの無償プロンプト集は大きな助けとなるでしょう。
実際の授業や校務で活用しやすい具体的なテンプレートがあることで、教員の負担軽減や児童・生徒の学習意欲向上に繋がる可能性が期待できます。