第3回:深層学習の基礎とニューラルネットワーク

第3回:深層学習の基礎とニューラルネットワーク

1. 深層学習とは?

深層学習(Deep Learning)は、人工ニューラルネットワークを用いた機械学習の一種で、大量のデータから複雑なパターンを学習します。従来の機械学習よりも多層構造を持ち、「特徴抽出」から「予測」までを自動で行えるのが特徴です。

深層学習のメリットと用途

  • 大規模データからパターンを自動学習し、画像認識、自然言語処理などで高精度の結果が得られる。
  • 大量の計算資源が必要であり、GPUの利用が普及。

2. ニューラルネットワークの基本構造

ニューラルネットワークの層構造

ニューラルネットワークは、入力層・隠れ層・出力層の三層で構成され、データを入力から出力へと処理します。隠れ層が多いほど、モデルはより高度なパターンを学習できるようになります。

パーセプトロン

パーセプトロンは、ニューラルネットワークの基本単位であり、単純な線形モデルです。複数のパーセプトロンを重ねることで多層ネットワークが形成されます。

活性化関数

活性化関数は、ニューロンの出力を非線形に変換し、モデルが複雑なパターンを学習できるようにするために使用されます。代表的な活性化関数は以下の通りです。

  • ReLU(Rectified Linear Unit):0以下の値を0に、0以上の値をそのまま返す。
  • シグモイド関数:0〜1の範囲で出力するため、確率予測に適している。
  • ソフトマックス関数:分類問題で、複数の出力の合計を1にし、確率として解釈できる。

3. 学習アルゴリズムと最適化

誤差逆伝播法(Backpropagation)

誤差逆伝播法は、ニューラルネットワークの誤差を各層に逆に伝播させ、勾配降下法を用いてモデルの重みを更新します。この手法により、モデルがより高精度に学習できます。

勾配降下法(Gradient Descent)

勾配降下法は、モデルの誤差を最小化するために、パラメータを少しずつ更新する手法です。代表的な最適化アルゴリズムには以下があります。

  • SGD(Stochastic Gradient Descent):1つのデータに基づいて更新を行う。
  • Adam:学習率を適応的に変化させ、収束を早める手法。

4. 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、画像データに特化したニューラルネットワークで、畳み込み層プーリング層を持ちます。画像の特徴(エッジや模様)を抽出し、画像認識物体検出に用いられます。

CNNの主な層

  • 畳み込み層:フィルターを用いて特徴を抽出。
  • プーリング層:特徴量のサイズを縮小し、計算負荷を軽減。
  • 全結合層:特徴を最終的な出力に結びつける。

5. リカレントニューラルネットワーク(RNN)

リカレントニューラルネットワーク(RNN)は、時系列データに適したニューラルネットワークで、前のステップの情報を次のステップに反映できます。音声認識、テキスト生成などに応用されます。

LSTMとGRU

  • LSTM(Long Short-Term Memory):長期間の依存関係を学習できるRNNの拡張。
  • GRU(Gated Recurrent Unit):LSTMよりも軽量な構造を持ち、時系列データに適しています。

次回予告

次回は、生成AI(Generative AI)の仕組みについて学び、GANやVAEといった生成モデルの基礎を解説します。生成AIの活用例も紹介します。

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