第6回:画像認識とコンピュータビジョンの基礎
1. コンピュータビジョンとは?
コンピュータビジョン(Computer Vision)は、画像や映像から情報を抽出し、分析する技術です。人間が視覚で行う認識や理解をコンピュータで実現することを目指しており、画像認識、物体検出、顔認識など幅広い分野で応用されています。
コンピュータビジョンの主なタスク
- 画像分類:画像を特定のカテゴリに分類するタスク。
- 物体検出:画像内の特定の物体を識別し、その位置を検出する技術。
- セグメンテーション:画像を領域ごとに分割し、各領域の意味を理解するタスク。
2. 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の構造
CNNの概要
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、画像データに特化した深層学習モデルで、畳み込み層とプーリング層を含む構造を持ちます。CNNは、画像の特徴(エッジや模様)を自動で学習し、画像分類や物体検出に用いられます。
CNNの主な層
- 畳み込み層:画像から特徴を抽出する層で、フィルターを使用して画像の特徴を学習。
- プーリング層:特徴量の次元を削減し、計算負荷を軽減する層。
- 全結合層:特徴を基に最終的なクラスを予測するための層。
3. 代表的な画像認識アルゴリズム
YOLO(You Only Look Once)
YOLOは、画像を1回処理するだけで物体検出を行う高速なアルゴリズムです。リアルタイムでの物体検出に適しており、交通監視や自動運転に応用されています。
ResNet(Residual Network)
ResNetは、層を深くすることで精度を向上させたモデルで、スキップ接続という技術を用いて勾配消失問題を解決します。画像分類タスクで高い精度を発揮します。
VGGネットワーク
VGGは、非常に深いネットワーク構造を持つモデルで、畳み込み層と全結合層の組み合わせにより高い精度を実現しますが、計算コストが高いという課題があります。
4. 画像認識技術の応用例
- 医療画像診断:MRIやCTスキャン画像の解析を行い、疾患を早期発見するために利用。
- 自動運転:カメラを用いた道路状況の把握、歩行者や他の車両の認識に活用。
- 顔認識システム:防犯やアクセス制御のために、個人を特定する技術として利用。
5. コンピュータビジョン技術の課題とリスク
データの偏りとバイアス
トレーニングデータが偏っていると、特定の集団に対して認識精度が低くなることがあります。公平性の確保が求められます。
プライバシーの懸念
顔認識技術の利用はプライバシーの侵害につながる可能性があり、倫理的配慮が必要です。
計算資源のコスト
画像認識は膨大な計算資源を必要とするため、効率的な資源利用が課題となります。
次回予告
次回は、AIのデータ処理と前処理に関する基礎を学びます。データのクリーニングや前処理方法について理解を深め、モデル精度向上のためのテクニックに触れます。